「耳閉感がある」とは
ご相談の多い症状
- 耳がつまっている感じがする
- 耳を塞がれている感じがする
といった状況です。
高層のエレベーターで移動したり、高い山へ登ったりしたときに、耳に違和感を覚えることがあると思います。
この耳閉感は、外耳・中耳・内耳いずれに問題があっても起こりうる症状です。
外耳
耳垢栓塞(みみあか)、外耳炎など
最近、増加しております。スマートフォンやタブレットの利用する際のイアホンによるトラブルも増えています。
中耳
中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、鼓膜穿孔、慢性中耳炎など
鼓膜を観察することで確認できます。外耳に異常がなければ次に確認します。
内耳
急性感音難聴、突発性難聴、メニエール病、ストレス性難聴、低音障害型感音難聴など
外耳にも中耳にも異常がなければ、疑わしくなります。
特に3月から5月は、人生のイベントごとも多く、耳の不調を訴えるかたが多く受診します。
コロナによる規制が緩和され、音楽イベントやライブイベントなどで大きな音を聞いた後の音響外傷(難聴や耳鳴り)の方も少しずつ受診しております。
急におこった耳症状(耳閉感、耳鳴、難聴やめまい)の際には、ステロイドホルモンの治療を検討することがありますので、できれば発症3日前後、遅くても1週間以内の耳鼻咽喉科受診をお勧めします。
耳管
耳管狭窄症、耳管開放症など
外耳、中耳、内耳に問題がなければ、耳管の問題が鑑別になります。
耳管(耳と鼻をつなげる管、Eustachian-Tube)と呼ばれる部分の機能障害によるものが最近注目されています。
耳管とは
耳管とは、上咽頭(鼻の奥の突き当りの部分)と鼓室(鼓膜の奥の空間)とをつなげる管のことです。
通常、耳管は閉鎖しており、あくびをしたりつばを飲んだりすると開きます。これにより鼓室内気圧の是正や排液を助けます。
耳管の開き方が悪いと鼓室に貯留液がたまる滲出性中耳炎になる場合があります。
また逆に耳管が開いたままになっている(これを耳管開放症、耳管閉鎖不全といいます)場合があり、これが原因で耳閉感や自声強聴(自分の声や周りの音が響く感じ)が生じることがあります。
耳管機能に関しても、まだ不明な部分が多く、根本的な治療方法は確立されていないのが現状です。
耳管の咽頭開口部への薬剤の塗布や噴霧、ある種の漢方薬に効果を認める場合があります。
耳管開放症
耳管が開いたままになる病気、状態です。
急な体重減少、脱水、糖尿病、妊娠、女性ホルモン剤(エストロゲン含有製剤)、低血圧、透析などが原因と考えられております。
また、幼少期からの鼻すすり癖がある人も30%にみられます。
この病気の特徴は、「臥位や前屈で改善する」ことです。
運動したあとや、立ち仕事(学校の先生、営業回り、店員さんなど)で夕方ころから病状が悪化することがあります。
水分補給や足を高くして横になるだけでも改善することがあります。
鼓膜所見や聴力所見は正常なことが多く、「異常なし」と診断されたり、耳のつまりがあるため、「ストレス性難聴」や「低音障害型感音難聴」の疑いとされることもあります。
自己診断は容易で、症状があるときに横(臥位や前屈)になって、症状が改善すれば耳管開放症の確率は高くなります。
耳管ピン挿入術
耳管開放症の手術治療法として確立しているのが、この耳管ピン挿入術です。
耳管ピン挿入術とは鼓膜を切開し、耳管内にシリコン製のピンを挿入する手術です。
ピンのサイズが合えば、効果は長期間持続しますが、ゆるくなることもあり、入れ替えが必要になる場合もあります。
2020年12月より耳管ピン挿入術は保険診療になりました。この耳管ピン挿入術は日本耳科学会の認定が必要となります。
仙台駅北口耳鼻咽喉科院長の菊地はこの認定を取得しております。
適切な治療を行うにはまずは正確な耳管機能障害の診断が必要です。まずは一度、当院へご相談ください。