頭頸部がんとは
頭頸部がんは、脳と目を除いた首から上のすべての領域に発生するがんの総称です。頭頸部がんには、咽頭がん、喉頭がん、舌がんなどが含まれ、これらは比較的有名ですが、全体としての認知度は高いとは言えません。実際、その発祥頻度も、全がんの5-7%程度を占める比較的稀ながんとされています。
各がんの種類によって、発生原因、治療法、予後が異なるのが特徴的です。
頭頸部がんの種類と特徴
頭頸部がんには以下の主な種類があります:
咽頭がん
上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんの3つに分類されます。
喉頭がん
声帯を含む喉頭(のど)に発生するがんです。
口腔がん
舌、歯肉、頬粘膜、口底、口蓋などに発生するがんの総称です。
舌がん
口腔がんの一種で、舌に発生するがんです。
その他
頭頸部がんには以下の種類も含まれます:
- 鼻・副鼻腔がん
- 唾液腺がん
- 外耳/中耳がん
これらのがんは、発生部位や原因、治療法、予後が異なるため、それぞれに適した診断と治療が必要です。
頭頸部がんは何かに相談する?
頭頸部がんが疑われる場合、まず耳鼻咽喉科を受診することが推奨されます。耳、鼻、咽頭・喉頭(のど)、口腔内、甲状腺のがんを疑う場合でも、まずは耳鼻咽喉科の受診が適切です。
当院が標榜する「耳鼻咽喉科」の正式名称は「耳鼻咽喉科頭頸部外科学会」といいます。この診療科は、首から上の部位(脳や眼球を除く)を扱い、特に「頭頸部がん」と呼ばれるがんを専門に診療します。耳鼻咽喉科は、頭頸部がんの多くの種類をカバーしており、適切な診断と治療の方向性を決定することができます。早期発見・早期治療が重要なため、症状が気になる場合は速やかに専門医の診察を受けることが大切です。(※ 頭頸部がんの治療には、耳鼻咽喉科、脳神経外科、形成・美容外科、放射線科などの協力が必要です。)
2024年8~9月に、当院を新規受診した1034名の患者さんを対象に実施した調査によれば、「耳鼻咽喉科頭頸部外科」の認知度は7.2%と低く、「頭頸部癌」の認知度も同様に低い結果でした。
部位別の認知度では、以下のような傾向が見られました:
認知度が比較的高い部位
– 舌癌:67.9%
– 喉頭癌:56.4%
– 口腔癌:48.5%
– 甲状腺癌:44.6%
認知度が低い部位
– 外耳道癌:7.0%
– 上顎癌:12.1%
– 上咽頭癌:22.5%
– 中咽頭癌:16.9%
– 下咽頭癌:16.3%
– 耳下腺癌:9.3%
– 顎下腺癌:7.8%
これらの結果から、耳鼻咽喉科頭頸部外科や頭頸部癌に関する認知度が全体的に低く、特に一部の疾患では認知が極めて不足していることが明らかになりました。
この調査を通じて、これらの病気についての啓発活動や情報発信の必要性を強く感じています。
注意が必要な症状
頭頸部がんは初期症状が乏しく、風邪や口内炎などの一般的な病気と類似していることが多いため、早期発見が難しいことがあります。そのため、リスク要因(喫煙、飲酒など)を持つ人や、以下の症状が持続する場合は、耳鼻咽喉科や頭頸部がん専門医を受診することが推奨されます。
気になる症状は、仙台駅北口耳鼻咽喉科へ
頭頸部がんの初期症状は、がんの発生部位によって異なります。これらの症状は、必ずしもがんを意味するものではありませんが、2週間以上続く場合は専門医の診察を受けることが重要です。
一般的に以下のような症状が見られます:
口腔がん
- 2週間以上治らない口内炎のような症状
- 口の中の痛みやしみる感覚
- 口の中のしこりや腫れ
- 歯のぐらつき
咽頭がん
- のどの痛みや違和感
- 飲み込み時の違和感
- 耳の痛み
- のどや鼻からの出血
喉頭がん
- 声のかすれ
- 飲み込みづらさ
- 息苦しさ
鼻・副鼻腔がん
- 鼻血
- 鼻づまり
- くさい鼻汁
唾液腺がん
- 耳の前部や下部の腫れ
- 顔面神経の麻痺
甲状腺がん
- 頸部のしこりや腫れ
- 声のかすれ
繰り返しになりますが、じょこれらの症状は、必ずしもがんを意味するものではありません。
しかし、いずれも初期症状が乏しいがんであることを心に留め、気になる症状が続いている場合は、一度検査していただくと安心です。お気軽にご相談ください。